体内の水は、
(1)電解質を溶解する
(2)体温の維持・調節
(3)溶媒となり
(4)血液の流れの円滑化
という、4つの重要な役割を担っています。
 
(1)電解質を溶解する
体液のうち細胞外液には、主に
ナトリウムイオン(Na+)や
塩化物イオン(Cl-)などがあり、
細胞内液には、主に
カリウムイオン(K+)などの「電解質」が溶け込んでいます。
 
電解質とは、水などの溶媒に溶けたときに、
プラスの電荷を持つ原子(陽イオン)と
マイナスの電荷を持つ原子(陰イオン)に分かれ、
溶けた液体に電気を通させる物質のことです。
 
例えば、
食塩が水に溶けた場合には、
陽イオンのナトリウムイオン(Na+)と
陰イオンの塩化物イオン(Cl-)に分かれます。
 
水は、誘電率
(分子が陽イオンと陰イオンに分離する分極の度合い)
が高く、電解質の溶解性が高いので、
体内の電解質濃度や浸透圧を調節するのに都合のよい物質だといえます。
また、
誘電率が高くなるほど、
他の分子の陽イオンや陰イオンと反応しやすくなります。
 
 
 (2)体温の維持・調節
水は、比熱が大きく、
「温まりにくくて冷めにくい」
という性質を持っています。
 
人間は、体に占める水の割合が大きいので、
周囲の温度変化による影響を受けにくく、
体温の維持に役立っています。
 
また、
水は、蒸発熱が大きく、
液体から気体に変わる時に必要な熱量も大きいので、
汗が蒸発する時に効率的に熱が奪われ、
体温をうまく調節することができるのです。
 
 
 (3)溶媒となる
水は、さまざまな物質を溶かすのにすぐれた溶媒です。
体内では、細胞内液や細胞外液を構成し、
生化学反応が起こりやすいように環境を整えています。
また、
栄養素の輸送や、老廃物の排出のための溶媒として機能しています。
 
 
 (4)血液の流れの円滑化
水は、溶液の流動性に関わっている粘性が低く、
体内の血液の流れを円滑にしています。
 
川と水